
「腰というより、お尻の奥のあたりが痛い」
「長く座ったあとや、椅子から立ち上がる瞬間に痛みが出る」
「病院で検査を受けたけれど、大きな異常はないと言われた」
このような症状があると、「もしかして仙腸関節が痛みの原因なのでは?」と気になる方もいらっしゃると思います。
仙腸関節は骨盤の後方にある関節で、腰やお尻周辺に痛みを感じる場合に確認する場所の一つです。
ただし、腰やお尻が痛いからといって、必ず仙腸関節が原因とは限りません。
腰椎や股関節、筋肉、神経など、ほかの部分が関係して似たような症状が出ることもあります。
この記事では、仙腸関節周辺の痛みで見られることがある症状、自宅で確認するときのポイント、医療機関で行われる検査、当院で身体を確認するときに見ているポイントについて解説します。
※大切な注意点
この記事で紹介するセルフチェックだけで「仙腸関節炎である」と判断することはできません。強い痛みが続く場合、発熱がある場合、転倒・外傷後に痛みが出た場合、足の強いしびれや力が入りにくい場合などは、自己判断せず医療機関へご相談ください。
仙腸関節周辺の痛みで見られることがある特徴
仙腸関節周辺の痛みは、腰痛や股関節周辺の痛みなどと感じ方が似ている場合があります。
身体を確認するときの情報として、次のような症状や動作は参考になります。
1.腰よりもお尻の奥に痛みを感じる
腰の中央というよりも、骨盤の後ろ側やお尻の奥に痛みを感じる場合があります。
左右両方ではなく、片側に強く感じる方もいらっしゃいます。
2.長時間座ったあとに痛みを感じる
デスクワークや車の運転などで長時間座ったあとに、腰や骨盤周辺の痛みを感じることがあります。
座っている姿勢そのものだけでなく、座っているときの体重のかけ方や姿勢、座っている時間なども確認したいポイントです。
3.椅子から立ち上がるときに痛む
座っている状態から立ち上がる瞬間や、動き始めの一歩目で腰・お尻周辺に痛みを感じる場合があります。
立ち上がるときに左右どちらへ体重をかけているのか、どのように身体を動かしているのかも重要な情報になります。
4.片足に体重をかけたときに痛みや違和感がある
片足立ちや階段、ズボンや靴下を履くときなど、片側の足に体重が集中する動作で症状を感じる方もいます。
この場合も仙腸関節だけでなく、股関節や腰、身体のバランスなどを含めて確認する必要があります。
5.寝返りや身体の向きを変えたときに痛む
寝返りや起き上がりなど、身体の向きを変える動作で腰やお尻周辺に痛みを感じる場合もあります。
どの方向へ動いたときに痛むのか、動き始めだけなのか、動いている間も痛むのかなども身体を評価するときの手がかりになります。
自宅で確認するときの3つのポイント
ここから紹介する方法は、仙腸関節炎を自分で診断するためのテストではありません。
「どのような動作で痛みが出るのか」を確認し、医療機関や専門家へ相談するときの情報として活用してください。
また、痛みを我慢して何度も繰り返す必要はありません。
1.片足立ちで左右を確認する

転倒しないよう壁や椅子などに手を添え、左右それぞれで片足立ちをしてみます。
その際に、
- 左右で痛みの出方が違うか
- 腰やお尻のどこに痛みを感じるか
- 片側だけ立ちにくくないか
- 身体が大きく傾かないか
などを確認します。
痛みが出たからといって仙腸関節が原因とは限りませんが、左右差を確認する一つの情報になります。
2.椅子から立ち上がる動作を確認する

普段と同じように椅子に座り、ゆっくり立ち上がります。
このときに、
- 立ち上がる瞬間に痛むのか
- 立ってから痛むのか
- 左右どちらかへ体重が偏っていないか
- 手を使わないと立ちにくくないか
などを確認してみてください。
痛みそのものだけでなく「どの動作の、どの瞬間に痛むのか」を確認することがポイントです。
3.仰向けで身体を動かしたときの左右差を確認する

仰向けになって両膝を立て、痛みのない範囲でゆっくり左右へ倒します。
左右で動かしやすさが違うのか、どの位置で痛みを感じるのかを確認します。
ここでも「痛い=仙腸関節」と判断するのではなく、身体を動かしたときの左右差や症状の変化を見るために行います。
痛みが強くなる場合は中止してください。
セルフチェックは痛みを再現することが目的ではありません。無理に身体をひねったり、何度も痛みを確認したりする必要はありません。
セルフチェックだけで仙腸関節炎と判断できる?
ここは非常に大切なポイントです。
腰やお尻周辺の痛みには、仙腸関節以外にもさまざまな要因が関係する可能性があるからです。
また、同じような場所が痛くても、人によって痛みが出る動作や身体の状態は異なります。
セルフチェックの目的は病名を決めることではなく、
- どこが痛むのか
- どの動作で痛むのか
- 左右差があるのか
- いつから症状が出ているのか
- 何をすると症状が強くなるのか
などを整理することです。
これらを把握しておくと、医療機関や専門家へ相談するときにも症状を伝えやすくなります。
私が実際に患者さんを見ていて確認しているポイント
仙腸関節周辺の痛みで来院される方を見ていると、痛みの場所だけでは判断できないケースが少なくありません。
そのため私は、患者さんが「どこが痛い」と感じているのかだけでなく、どのような動作で痛みが出るのか、実際に身体へ刺激を加えたときにどこに症状が出るのかを確認するようにしています。
例えば、
- 座っているときに痛いのか
- 座った状態から立ち上がる瞬間に痛いのか
- 歩き始めに痛いのか
- 歩き続けると痛くなるのか
- 寝返りや起き上がりで痛いのか
などです。
同じ「お尻の奥が痛い」という症状でも、痛みが出るタイミングや動作が違えば、身体を見るときに確認するポイントも変わってきます。
実際の検査で私が必ず確認していること
これ以外にも、私が仙腸関節周辺の症状を見る際に必ず確認していることがあります。
その一つが、実際に骨盤周辺へ刺激を加えたときに、普段感じている痛みやしびれが再現されるかどうかです。
具体的には、
- うつ伏せの状態で仙骨周辺を上から押さえたときに、痛みやしびれが出るか

- 仰向けの状態で骨盤の出っ張っている部分周辺を押さえたときに、痛みやしびれが出るか
この2つは、私が身体を確認するときに必ず見るポイントです。
実際に患者さんを見ていると、ご本人が「ここが痛い」と感じている場所と、検査で反応が出る場所が必ずしも同じとは限りません。
仙骨周辺に痛みを感じている方でも、身体の別の場所を確認すると痛みや違和感が出るケースがあります。
そのため私は、痛みを感じている場所だけを確認するのではなく、「どこを確認すると普段の症状が再現されるのか」「痛みを感じている場所とは別の部分に問題が隠れていないか」という視点も大切にしています。
医療機関ではどのような検査をする?
腰やお尻周辺の痛みが続いている場合には、まず医療機関でほかの疾患がないか確認してもらうことも大切です。
症状や経過に応じて、問診、身体診察、画像検査などが行われることがあります。
問診・身体診察
いつから痛いのか、どの場所が痛いのか、どのような動作で症状が出るのかなどを確認します。
また、腰・骨盤・股関節周辺を動かしたときの反応などを確認することがあります。
仙腸関節に関連する徒手検査
仙腸関節周辺が症状に関係しているかを評価するために、複数の徒手検査が用いられることがあります。
代表的なものとして、
- Gaenslen(ゲンスレン)テスト
- FABER(ファーバー)テスト
- 骨盤周辺へ圧迫を加えて反応を見る検査
などがあります。
ただし、一つの検査結果だけで仙腸関節が原因だと決めるのではなく、症状やほかの検査結果などを合わせて評価することが重要です。
レントゲン・MRI・CTなどの画像検査
症状や状態によっては、レントゲン、MRI、CTなどの画像検査が行われることがあります。
画像検査は仙腸関節だけを見るためではなく、腰椎や股関節など、ほかに症状へ関係する問題がないか確認するためにも重要です。
画像だけで判断するのではなく、症状や身体診察などを合わせて確認していきます。
当院では仙腸関節周辺の痛みをどのように確認する?
当院では「仙腸関節が痛いから仙腸関節だけを見る」という考え方はしていません。
仙腸関節周辺へ負担が集中している背景を確認するため、症状に応じて身体全体を見ていきます。
1.痛みが出る動作
立ち上がり、歩き始め、寝返り、前屈、身体をひねる動作など、どの動作で症状が出るのかを確認します。
2.立ったときの身体のバランス
左右どちらに体重が偏っているのか、身体がどのような位置にあるのかなどを確認します。
3.股関節や背中の動き
仙腸関節周辺だけでなく、股関節や背中などの動きも確認します。
身体はそれぞれの部分が連動して動くため、別の部分の動きが少なくなることで腰や骨盤周辺へ負担が集中する場合があるからです。
4.歩き方
歩くときに左右で身体の使い方が違っていないか、特定の場所へ負担が集中していないかを確認します。
5.日常生活で繰り返している動作
仕事、家事、座り方、立ち方など、普段どのように身体を使っているのかも確認します。
身体を確認する時間よりも日常生活を送っている時間の方が圧倒的に長いため、普段の身体の使い方を知ることも重要だと考えています。
セルフチェックで痛みが出たらどうすればいい?
セルフチェックで痛みが出たからといって、痛みが出た動作を何度も繰り返す必要はありません。
また、「硬いからストレッチをする」「筋力が弱いから筋トレをする」「痛い場所をボールでほぐす」など、自己判断で刺激を増やすことにも注意が必要です。
仙腸関節周辺が痛いときに注意したいセルフケアについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
仙腸関節が痛いときにやってはいけないこと|ストレッチ・筋トレ・テニスボールの注意点
このような症状がある場合は医療機関へ相談してください
腰やお尻周辺の痛みがすべて仙腸関節から起こるわけではありません。
特に、
- 強い痛みが続いている
- 安静にしていても強く痛む
- 発熱などの全身症状がある
- 転倒や事故などのあとから痛みが出た
- 足に強いしびれがある
- 足に力が入りにくい
- 症状が徐々に強くなっている
などの場合には、セルフチェックやセルフケアだけで様子を見ず、医療機関へ相談してください。
仙腸関節のセルフチェックについてよくある質問
セルフチェックで痛みが出たら仙腸関節炎ですか?
セルフチェックで痛みが出たというだけで、仙腸関節炎と判断することはできません。
腰やお尻周辺にはさまざまな組織があり、似たような症状が出る場合があります。
セルフチェックは病名を判断するためではなく、「どの動作でどこが痛むのか」を確認するための目安として考えてください。
レントゲンで異常がなければ仙腸関節は問題ありませんか?
画像検査だけですべての痛みの原因が分かるとは限りません。
一方で、腰やお尻の痛みには仙腸関節以外の問題が関係する場合もあるため、画像検査や身体診察、症状の経過などを合わせて評価することが重要です。
仙腸関節の痛みはどこに出ますか?
腰からお尻周辺に痛みを感じる方がいますが、痛みの場所や感じ方には個人差があります。
痛む場所だけで仙腸関節が原因だと判断することはできません。
仙腸関節の痛みは何科へ行けばいいですか?
腰やお尻周辺の痛みが続いている場合には、まず整形外科などの医療機関へ相談し、ほかの疾患がないか確認してもらうことをおすすめします。
自分でストレッチや筋トレをしても大丈夫ですか?
身体の状態によって異なります。
特に痛みが強い状態で無理なストレッチや筋力トレーニングをすると、症状が強くなる場合があります。
痛みを我慢して行うのではなく、現在の状態を確認してから行うことが大切です。
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まとめ|セルフチェックは「診断」ではなく身体を知るための目安
仙腸関節周辺の痛みが気になる場合、自宅で動作を確認することで「どの動作で痛むのか」「左右で違いがあるのか」といった情報を整理できます。
ただし、セルフチェックだけで仙腸関節炎と判断することはできません。
腰やお尻周辺の痛みには、腰椎や股関節、筋肉、神経などさまざまな要素が関係する可能性があります。
そのため、痛みが続いている場合には「仙腸関節かどうか」だけにこだわらず、身体全体の状態を確認することが大切です。
当院でも、痛みのある場所だけではなく、立ち方、歩き方、股関節や背中の動き、日常生活などを確認しながら身体の状態を評価しています。
仙腸関節の痛みでお悩みの方へ
ひこばえ整骨院での仙腸関節に対する考え方、検査・施術内容については、こちらのページで詳しくご紹介しています。
この記事の執筆者

ひこばえ整骨院 院長 齋藤克也
国家資格保有。兵庫県西宮市でひこばえ整骨院を運営。
身体の痛みや不調に対する施術だけでなく、同業者への技術指導や書籍出版などを通じて、身体に関する情報発信を行っています。
YouTubeでも身体の痛みや不調について、一般の方にもできるだけ分かりやすく解説しています。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を目的とするものではありません。




