仙腸関節炎がなかなか治らない理由と改善のヒント|整骨院の視点から解説

「病院では大きな異常はないと言われたけれど、腰やお尻の奥の痛みが続いている」

「治療を受けると一度は楽になるけれど、しばらくするとまた痛くなる」

「ストレッチやマッサージを続けているのに、なかなか変わらない」

仙腸関節周辺の痛みで、このようなお悩みを抱えている方もいらっしゃると思います。

なかなか改善しない場合に大切なのは、「痛い場所だけに原因がある」と決めつけないことです。

仙腸関節周辺に痛みを感じていても、股関節や背中の動き、左右の体重のかけ方、歩き方、日常生活で繰り返している動作など、さまざまな要素が関係している場合があります。

この記事では、仙腸関節周辺の痛みがなかなか改善しないときに考えたいこと、一度良くなっても繰り返す理由、当院で身体を見るときに確認しているポイントについて解説します。

※強い痛みが続く場合、発熱がある場合、転倒・外傷後に痛みが出た場合、足の強いしびれや力が入りにくいなどの症状がある場合は、自己判断でセルフケアを続けず医療機関へご相談ください。

仙腸関節の痛みがなかなか解決しないのはなぜ?

仙腸関節周辺の痛みが長く続く場合、単純に「仙腸関節だけが悪い」と考えるのではなく、なぜその場所に負担が集中しているのかを考えることが大切です。

痛みのある場所へのケアだけではなく、日常生活で繰り返している動作、立ち方や歩き方、股関節や背中の動き、現在行っているセルフケアなども確認する必要があります。

実際に当院へ来院される方を見ていると、なかなか改善しない方にはいくつか共通する傾向があります。

私が実際に患者さんを見ていて感じる「治りにくいケース」

これまで仙腸関節周辺の痛みで来院された患者さんを見ていると、なかなか改善しない方には共通していることがあります。

特に多いと感じるのが、次の3つです。

  1. 筋肉をつけたら早く治ると思っている
  2. 痛みを我慢してもストレッチやマッサージをしたら早く良くなると思っている
  3. 痛い部分だけを一生懸命アプローチしている

この3つは、実際に患者さんのお話を聞いていても非常に多いです。

「早く良くなりたいから何かしたい」というお気持ちはすごく分かります。

ただし、身体の状態によっては、良かれと思って行っていることが仙腸関節周辺への負担を増やしてしまう場合があります。

1.筋肉をつければ早く治ると思っている

「腰が痛いのは筋力が弱いから」「筋肉をつければ仙腸関節も安定する」と考えて、筋力トレーニングを始める方がいらっしゃいます。

筋力をつけること自体が悪いわけではありません。

しかし、痛みが強く出ている状態でスクワットや体幹トレーニングなどを行うと、運動による負荷が刺激となり、かえって痛みが強くなることがあります。

大切なのは「筋トレが良いか悪いか」ではなく、「今の身体が筋トレをしてもいい状態なのか」を判断することです。

私は、痛みがあるからすぐに筋力をつける、という考え方はおすすめしていません。

2.痛みを我慢してストレッチやマッサージを続けている

これも実際に非常に多いケースです。

「硬くなっているから伸ばした方がいい」「痛いところをほぐせば楽になる」と考えて、痛みを我慢しながらストレッチやマッサージを続けている方がいらっしゃいます。

しかし、痛みが出ている状態で強い刺激を繰り返すことが、必ずしも良いとは限りません。

特に「痛いけれど効いている気がする」という感覚で、さらに強く伸ばしたり押したりすることには注意が必要です。

セルフケアは「強くすればするほど効果が高い」というものではありません。

痛みが強くなる場合には一度中止し、現在の身体の状態を確認することをおすすめします。

前の記事でも詳しくご紹介しましたが、仙腸関節周辺やお尻にボールを当てて強く刺激するセルフケアも、状態によっては痛みを強くしてしまう可能性があります。

詳しくは、仙腸関節が痛いときにやってはいけないこと|ストレッチ・筋トレ・テニスボールの注意点で解説しています。

3.痛い部分だけを一生懸命アプローチしている

私がこの3つの中でも特にお伝えしたいのが、この考え方です。

仙腸関節周辺が痛ければ、当然そこに原因があると思います。

そのため、痛いところをマッサージしたり、仙腸関節周辺だけをストレッチしたりする方が多くいらっしゃいます。

しかし、実際に身体を確認していくと、痛みを感じている場所とは別の部分の動きが関係していることがあります。

例えば、股関節の動きが少ない、背中が動きにくい、左右で体重のかけ方が違う、歩くときの身体の使い方に左右差があるなどです。

そのような状態では、仙腸関節周辺だけを一生懸命ケアしても、日常生活に戻ると再び同じ場所へ負担が集中してしまうことがあります。

私は「痛い場所をどうするか」だけではなく、「なぜそこに負担が集中しているのか」を見つけることが重要だと考えています。

「痛い場所=痛みに関係している要素」とは限りません

仙腸関節周辺に痛みがあると、どうしてもその場所に意識が集中します。

しかし身体は、腰・骨盤・股関節・背中・肩甲骨などが完全に別々に動いているわけではありません。

立つ、歩く、しゃがむ、身体をひねるといった動作では、それぞれの部位が連動しています。

例えば股関節が十分に動かなければ、その分を腰や骨盤周辺の動きで補うことがあります。

また背中が動きにくい状態で身体をひねれば、腰や骨盤周辺へ動きが集中することも考えられます。

そのため当院では、「どこが痛いか」だけではなく、「なぜそこに負担が集中しているのか」という視点で身体を見ることを大切にしています。

骨盤には体の筋肉が繋がっている

このように、腰や骨盤周辺に関係する筋肉や筋膜は、その周辺だけで完結しているわけではありません。

背中から骨盤周辺に広がる筋肉や筋膜もあり、さらに身体を動かす際には股関節・背中・肩甲骨なども連動して動きます。

そのため、仙腸関節周辺に痛みがあるからといって、その場所だけを確認すればよいとは限りません。

当院では痛みのある場所だけでなく、その周囲や離れた場所の動きも確認しながら、仙腸関節周辺に負担が集中している理由を考えていきます。

一度良くなったのに、なぜまた痛くなるのか?

「施術を受けた直後は楽だったのに、数日すると戻ってしまう」

このようなお悩みもよくあります。

ここで考えたいのが、「痛みが減ったこと」と「負担がかかる原因が変わったこと」は必ずしも同じではないということです。

一時的に身体の緊張が減って楽になったとしても、仕事や家事、座り方、歩き方などによって同じ場所へ負担をかけ続ければ、再び痛みを感じる可能性があります。

そのため、症状を繰り返している場合には、痛みを軽減させることだけではなく、日常生活の中で負担が集中する理由まで確認することが重要です。

仙腸関節の痛みが続く方に当院が確認していること

当院では仙腸関節周辺だけを確認して施術方法を決めるわけではありません。

症状や状態に応じて、次のようなポイントを確認します。

1.立ったときの身体のバランス

左右どちらに体重が偏っているのか、骨盤や上半身がどのような位置にあるのかを確認します。

2.股関節・背中・肩甲骨などの動き

腰や仙腸関節だけでなく、その周囲や離れた場所の動きも確認します。

一部分の動きが低下すると、別の場所がその動きを補うことがあるためです。

3.歩き方

歩行時に左右で身体の使い方が違っていないか、特定の場所に負担が集中していないかを確認します。

4.痛みが出る動作

「立ち上がると痛い」「歩き始めに痛い」「寝返りで痛い」など、どの動作で症状が出るのかも重要な情報です。

同じ仙腸関節周辺の痛みでも、痛みが出る動作が違えば確認するポイントも変わります。

5.普段の生活や仕事

デスクワークなのか、立ち仕事なのか、重いものを持つことが多いのかなど、日常生活で身体にかかっている負担も確認します。

施術をしている時間より、日常生活を送っている時間の方が圧倒的に長いため、生活の中で何が負担になっているのかを見ることも重要だと考えています。

仙腸関節の痛みを改善していくために大切なこと

仙腸関節周辺の痛みを改善していくために、「この運動をすれば必ず良くなる」という一つの方法があるわけではありません。

重要なのは、

  • 現在どのような状態なのか
  • どの動作で負担がかかっているのか
  • どの部分の動きが不足しているのか
  • 日常生活で何を繰り返しているのか

などを確認したうえで、その方に必要な対策を選ぶことです。

「硬いからストレッチ」「筋力が弱いから筋トレ」と単純に決めるのではなく、まず現在の身体の状態を確認することが大切です。

痛みが長く続く場合は医療機関での確認も大切です

腰やお尻周辺の痛みは、仙腸関節だけが原因とは限りません。

腰椎や股関節など、ほかの部位が関係している可能性もあります。

特に、

  • 強い痛みが続いている
  • 安静にしていても痛みが強い
  • 発熱などの全身症状がある
  • 転倒や事故のあとから痛みが出た
  • 足に強いしびれがある
  • 足に力が入りにくい

などの場合には、自己判断だけで対処せず医療機関へ相談してください。

仙腸関節の痛みについてよくある質問

仙腸関節の痛みはどれくらいで良くなりますか?

症状の程度や痛みが続いている期間、身体の状態、生活環境などによって異なるため、一概に期間を決めることはできません。

長く症状が続いている場合は、痛みのある場所だけではなく、身体の使い方や日常生活での負担も含めて確認することが大切です。

仙腸関節が痛いときは安静にした方がいいですか?

痛みの程度や状態によって異なります。痛みを我慢して無理に運動することはおすすめできませんが、すべてのケースで長期間安静にすることが適しているとも限りません。

仙腸関節の痛みを何度も繰り返すのはなぜですか?

痛みが一時的に軽減しても、普段の身体の使い方や生活環境によって同じ場所へ負担が集中している場合、再び症状を感じることがあります。

繰り返している場合には、「どこが痛いか」だけでなく「なぜそこに負担がかかっているのか」を確認することが重要です。

ストレッチや筋トレはした方がいいですか?

状態によって異なります。痛みが強い時期に無理なストレッチや筋力トレーニングを行うと、症状が強くなる場合があります。

自己判断で刺激を増やすのではなく、現在の状態を確認してから行うことをおすすめします。

仙腸関節の痛みは何科に相談すればいいですか?

腰やお尻周辺の痛みが続いている場合には、まず整形外科などの医療機関へ相談し、ほかの疾患がないか確認してもらうことが大切です。

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まとめ|仙腸関節の痛みが治らないときは「なぜ負担がかかるのか」を考える

仙腸関節周辺の痛みがなかなか改善しない場合、痛みのある場所だけを繰り返しケアするのではなく、なぜその場所へ負担が集中しているのかを確認することが大切です。

股関節や背中の動き、立ち方、歩き方、仕事中の姿勢など、痛みとは離れた部分が関係している場合もあります。

当院でも仙腸関節周辺だけを見るのではなく、身体全体の動きや日常生活を確認したうえで、その方に合わせた施術やアドバイスを行っています。

何度も同じ症状を繰り返している方は、「どこが痛いか」から一歩進んで、「なぜそこが痛くなるのか」という視点で身体を確認してみることをおすすめします。

仙腸関節の痛みでお悩みの方へ

ひこばえ整骨院での仙腸関節に対する考え方、検査・施術内容については、こちらのページで詳しくご紹介しています。

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この記事の執筆者

院長の斉藤克也の写真

ひこばえ整骨院 院長 齋藤克也

国家資格保有。兵庫県西宮市でひこばえ整骨院を運営。

身体の痛みや不調に対する施術だけでなく、同業者への技術指導や書籍出版などを通じて、身体に関する情報発信を行っています。

YouTubeでも身体の痛みや不調について、一般の方にもできるだけ分かりやすく解説しています。

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を目的とするものではありません。