
「仙腸関節が痛いときは、ストレッチをした方がいいの?」
「痛いところをテニスボールでほぐしても大丈夫?」
「できるだけ動いた方がいいのか、それとも安静にした方がいいのかわからない」
仙腸関節周辺に痛みがあると、このように「何をすればいいのか」「逆に何をしてはいけないのか」迷う方も多いと思います。
仙腸関節周辺に痛みがあるときは、痛みを我慢して強くストレッチしたり、痛みが増える動作を何度も繰り返したりすることはおすすめできません。
一方で、すべての人が「動かしてはいけない」「安静にしていればよい」というわけでもありません。
痛みの程度や原因、身体の状態によって、適切な対処方法は変わります。
この記事では、仙腸関節周辺に痛みがあるときにやってはいけないこと、ストレッチを行う際の注意点、自宅でできるケアについて、兵庫県西宮市で整骨院を運営する立場から解説します。
※ご注意ください
強い痛みが続く場合、発熱がある場合、転倒・外傷後に痛みが出た場合、 足の強いしびれや力が入りにくいなどの症状がある場合は、 自己判断でセルフケアを続けず医療機関へご相談ください。
仙腸関節が痛いときにやってはいけないこと
仙腸関節周辺に痛みがあると、「硬くなっているから伸ばした方がいいのでは?」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、痛みが強い状態で無理にストレッチや運動を行うと、かえって痛みが強くなることがあります。
まずは、仙腸関節周辺に痛みがあるときに注意したい行動から確認していきましょう。
1.痛みを我慢して強くストレッチする
「伸ばせば楽になる」と考えて、痛みを我慢しながら強くストレッチするのは避けましょう。
ストレッチは強く行えば効果が高くなるわけではありません。
特に、ストレッチ中やストレッチ後に痛みが明らかに強くなる場合は、その方法が現在の身体の状態に合っていない可能性があります。
「痛いけれど効いている気がする」と無理をして続けないことが大切です。
2.痛みが増えるひねり・反り動作を繰り返す
身体を大きくひねる、腰を強く反らすなどの動作によって痛みが増える場合は、無理に繰り返さないようにしましょう。
例えば、起き上がる、寝返りをする、靴下を履く、車から降りるなど、日常生活の何気ない動作でも骨盤周辺に負担がかかることがあります。
重要なのは「ひねる動作はすべて禁止」ということではなく、自分の痛みが明らかに増える動作を何度も繰り返さないことです。
3.長時間同じ姿勢を続ける
デスクワークや長時間の運転などで同じ姿勢が続くと、腰や骨盤周辺の筋肉がこわばり、立ち上がったときに痛みを感じる方がいます。
反対に、立ちっぱなしで症状が強くなる方もいます。
「座ることが悪い」「立つことが悪い」というより、同じ姿勢を長時間続けることを避け、痛みの出ない範囲で適度に体勢を変えることを意識しましょう。
4.痛い場所をテニスボールなどで強く押し続ける
仙腸関節周辺が痛いと、テニスボールなどを使って痛い場所を強く押したくなる方もいらっしゃいます。
しかし、「痛い場所=強くほぐせばよい場所」とは限りません。
強く押したあとに痛みが増える場合や、押している最中に鋭い痛みが出る場合は中止してください。
仙腸関節周辺の痛みには、腰や股関節など別の部位が関係している場合もあるため、痛い場所だけを強く刺激し続けることはおすすめしません。
実際の患者さんをみていて、特に注意してほしい2つのこと
ここまで仙腸関節が痛いときに注意したい基本的な行動について説明しました。
そのうえで、私が実際に仙腸関節周辺の痛みで来院される患者さんをみている中で、 特に自己判断で行ってほしくないと感じることが2つあります。
①「筋力が少ないから」と自己判断で筋トレを始める
一つ目は、 「筋力が少ないから痛いのだろう」と考えて、自分で運動や筋力トレーニングを始めること です。
一見すると「筋力をつければ身体を支えられるようになるので良いのでは?」と思われるかもしれません。
もちろん、身体の状態によっては運動や筋力トレーニングが必要になることもあります。
しかし、仙腸関節周辺に痛みがある状態で、身体の状態を確認せずに負荷の強い運動を始めると、 運動によってかえって痛みが強くなる方も実際にいらっしゃいます。
特に痛みが強い時期や、症状が長く続いている場合には、 「筋力が足りないから、とにかく鍛えればよい」と単純に考えないことが大切です。
筋力トレーニングそのものが悪いのではなく、現在の身体の状態に対して、どの程度の負荷をかけてよいのかを判断することが重要 だと私は考えています。
② ボールを使って痛い場所を強くマッサージする

もう一つ、実際に来院される患者さんから非常によく聞くのが、 テニスボールなどのボールを使って、痛い場所を自分でマッサージしている というケースです。
「痛いところが硬くなっているから、ボールでほぐせば良くなるのでは?」 と考えて行っている方が多いのですが、ここで問題になるのが刺激の強さです。
ボールを床や壁との間に挟んで体重をかけると、 自分が思っている以上に強い刺激が加わることがあります。
特に仙腸関節周辺に痛みが強く出ている状態では、 「痛いほど効いている」と考えて強く刺激し続けることはおすすめしていません。
実際に当院へ来院される方の中にも、 良くしようと思ってボールで繰り返し刺激していたという方は少なくありません。
私が特にお伝えしたいこと
「筋力が少ないから鍛える」
「痛いところが硬いから強くほぐす」
どちらも一見すると正しいように感じます。
しかし、仙腸関節周辺に痛みがある場合は、 現在どのような状態なのかを確認せずに自己判断で負荷や刺激を加えることで、かえって痛みが強くなることがあります。
まず身体の状態を確認し、その状態に合った運動やセルフケアについて専門家からアドバイスを受けてから行うことをおすすめします。
仙腸関節の痛みは安静にした方がいい?動いた方がいい?
これは患者さんからもよく聞かれる質問です。
結論からいうと、「ずっと安静にすればよい」「痛くても動いた方がよい」と一律には決められません。
痛みが強く、普段の動作でも症状が悪化するような時期に、無理に運動や強いストレッチを行う必要はありません。
一方で、症状が落ち着いているにもかかわらず長期間ほとんど身体を動かさない状態が続けば、身体の動かしにくさにつながる場合もあります。
そのため、まずは痛みを強くする動作を避けながら、現在できる範囲で身体を動かしていくという考え方が大切です。
なぜ仙腸関節のストレッチで痛みが悪化することがあるのか?
仙腸関節周辺が痛いからといって、必ずしも仙腸関節だけに問題があるとは限りません。
身体は、腰、骨盤、股関節、背中などがそれぞれ独立して動いているわけではなく、複数の部位が連動しながら動いています。
そのため、痛い場所だけを繰り返し伸ばしたり刺激したりしても、身体全体の動きが変わらなければ負担が残ることがあります。
また、人によって痛みが出る動作や身体の使い方は異なります。
「仙腸関節が痛い人には、このストレッチをすれば必ず良くなる」というものではありません。
ストレッチを行う場合も、痛みの変化を確認しながら無理のない範囲で行うことが大切です。
自宅でできる仙腸関節のストレッチ&ケア3選
ここからは、仙腸関節そのものを強く伸ばすのではなく、身体全体の動きを整える目的で行いやすいセルフケアをご紹介します。
痛みが強くなる場合は無理に行わず、中止してください。
1.壁を使った「あご引きストレッチ」

目的:首から背中にかけて姿勢を確認し、身体全体を無理なく伸ばします。
やり方:
- 壁に背をつけて立ち、かかと・お尻・背中を壁につけます。
- あごを軽く引き、できる範囲で後頭部を壁に近づけます。
- 無理のない状態で10秒程度キープします。
- これを3回程度行います。
ポイント:あごを強く押し込んだり、腰を無理に反らしたりしないようにしてください。
2.胸を開く「タオルストレッチ」

目的:前かがみになりやすい姿勢から、胸や背中を動かしやすくします。
やり方:
- タオルを肩幅より少し広めに持ちます。
- 両腕をゆっくり上げ、無理のない範囲で胸を開きます。
- 心地よく伸びる位置で10〜15秒程度キープします。
- これを3回程度行います。
ポイント:腰を大きく反らせるのではなく、呼吸を止めずにゆっくり行いましょう。
3.肩甲骨を動かす「肩回し体操」

目的:肩甲骨や背中を動かし、身体全体を動かしやすくします。
やり方:
- 両手を肩に軽く置きます。
- 肘で円を描くように、ゆっくり肩を回します。
- 前回し・後ろ回しをそれぞれ10回程度行います。
ポイント:力を入れすぎず、呼吸を止めないようにしてください。
なぜ仙腸関節炎なのに腕や肩甲骨をする必要があるのか?
一見すると、仙腸関節の痛みと肩甲骨や背中は関係がないように感じるかもしれません。
しかし身体は、肩甲骨・背中・腰・骨盤がそれぞれ別々に動いているわけではありません。
広背筋や脊柱起立筋、胸腰筋膜などを介して、背中から骨盤周辺まで連動して動いています。

例えば、痛みを感じている場所は腰や仙腸関節周辺でも、背中や肩甲骨の動きが悪くなり、その影響で腰や骨盤周辺に負担が集中していることがあります。
そのため私は、「痛い場所=原因」と決めつけず、身体全体の動きを確認することが大切だと考えています。
仙腸関節の痛みが強いときの対処法
ストレッチをすると痛みが増える、普段の動作でも強い痛みがあるという場合は、無理にセルフケアを続けないことも大切です。
無理にストレッチを続けない
セルフケアをしたあとに明らかに痛みが増える場合は、一度中止しましょう。
「毎日やらなければいけない」と考えて、痛みを我慢して続ける必要はありません。
楽な姿勢を探す
座っている方が楽なのか、立っている方が楽なのか、横になった方が楽なのかは人によって異なります。
痛みが強いときは、まず症状が比較的落ち着く姿勢を探してください。
骨盤ベルト・サポーターについて
骨盤周辺を支えることで動作が楽になる方もいます。
ただし、装着する位置や締め方によって使用感は異なります。
「強く締めれば締めるほどよい」というものではないため、使用して痛みが増える場合は無理に続けないようにしましょう。
仙腸関節の痛みについてよくある質問
Q.仙腸関節が痛いときはストレッチしてもいいですか?
痛みが強くならない範囲で行える場合もありますが、痛みを我慢して強く伸ばすことはおすすめしません。ストレッチ中やストレッチ後に症状が悪化する場合は中止してください。
Q.仙腸関節が痛いときは歩いてもいいですか?
歩行によって痛みが強くなるかどうかによって判断が変わります。痛みを我慢して長時間歩く必要はありません。歩ける場合でも、まずは無理のない距離から行いましょう。
Q.テニスボールで痛いところを押してもいいですか?
強く押したり、長時間刺激したりすることはおすすめしません。押したあとに痛みが増える場合は中止してください。痛みの場所と原因となっている場所が必ず一致するとは限りません。
Q.仙腸関節の痛みは安静にした方がいいですか?
痛みが強い時期に無理に運動する必要はありませんが、長期間まったく動かない方がよいとも限りません。症状に合わせて、痛みを悪化させない範囲で日常生活を続けることが大切です。
Q.仙腸関節の痛みが続く場合はどうすればいいですか?
仙腸関節周辺の痛みには、腰や股関節など別の部位が関係していることもあります。セルフケアを続けても改善しない場合や症状が強くなっている場合は、自己判断を続けず医療機関などへ相談してください。
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まとめ|仙腸関節の痛みは無理に動かすことが正解とは限りません
仙腸関節周辺に痛みがあると、 「硬くなっているからストレッチをした方がいい」 「筋力が足りないから鍛えた方がいい」 「痛いところをボールでほぐした方がいい」 と考える方も多いと思います。
しかし、痛みが出ている時期や身体の状態によっては、強いストレッチや筋力トレーニング、痛い場所への強い刺激が、かえって負担になることがあります。
そのため大切なのは、痛みのある仙腸関節だけを見るのではなく、 「なぜ仙腸関節周辺に負担が集中しているのか」まで考えることです。
当院では仙腸関節周辺だけではなく、
- 背中や肩甲骨の動き
- 股関節の動き
- 骨盤周辺の筋肉の緊張
- 立ち方や歩き方
- 日常生活での身体の使い方
なども確認しながら、身体全体の状態をみていきます。
今回ご紹介した肩甲骨や背中を動かす体操も、 単純に「腰とは関係のない場所を動かしている」というわけではありません。
背中の筋肉や胸腰筋膜などは骨盤周辺の組織とも連続しているため、 痛みのある仙腸関節を直接強く刺激するのではなく、状態に応じて離れた場所から身体を動かしていく という考え方もあります。
「痛いところをとにかく伸ばす・ほぐす」のではなく、痛いところに負担が集中しにくい身体の状態をつくること。
これが、仙腸関節周辺の痛みに対して私が大切にしている考え方です。
痛みがなかなか改善しない場合や、セルフケアをするとかえって痛みが強くなる場合には、 自己判断で運動やストレッチを続けず、一度専門家へ相談することをおすすめします。
この記事の執筆者
ひこばえ整骨院 院長 齋藤克也

国家資格保有。兵庫県西宮市でひこばえ整骨院を運営。
身体の痛みや不調に対する施術だけでなく、 同業者への技術指導や書籍出版などを通じて、 身体に関する情報発信を行っています。
仙腸関節周辺の痛みに対しても、痛みのある部分だけを見るのではなく、 姿勢や歩き方、股関節・背中などの動きも確認しながら、 身体全体の状態をみることを大切にしています。
YouTubeでも身体の痛みや不調について、 一般の方にもできるだけ分かりやすく解説しています。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、 個別の診断や治療を目的とするものではありません。 強い痛みが続く場合、発熱がある場合、転倒・外傷後に痛みが出た場合、 足の強いしびれや力が入りにくいなどの症状がある場合は、 自己判断でセルフケアを続けず医療機関へご相談ください。



