すべり症・脊柱管狭窄症・腰椎ヘルニアの違いとは?症状と見分け方を解説

「病院ですべり症と言われたけれど、脊柱管狭窄症や腰椎ヘルニアとは何が違うの?」

「腰だけではなく、お尻や足まで痛みやしびれがある」

「MRIでは異常があると言われたけれど、本当にそれが今の症状の原因なの?」

このような疑問を持っている方も多いと思います。

腰椎すべり症・腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニアは、それぞれ異なる状態ですが、腰痛やお尻の痛み、足の痛み・しびれなど似た症状が出ることがあります。

また、「すべり症と脊柱管狭窄症」のように、複数の状態が同時に見られることもあります。

この記事では、すべり症・脊柱管狭窄症・腰椎ヘルニアの違い、それぞれに見られやすい症状、検査で確認すること、私が実際に患者さんを見るときに確認しているポイントについて解説します。

※足に急激な筋力低下がある、排尿・排便に異常がある、強いしびれが急速に悪化しているなどの場合には、自己判断せず早めに医療機関へご相談ください。

すべり症・脊柱管狭窄症・腰椎ヘルニアの違いを簡単に説明すると

まず、3つの違いを簡単に整理しておきます。

腰椎すべり症は、腰椎が前後にずれた状態です。

腰部脊柱管狭窄症は、背骨の中にある神経の通り道である「脊柱管」が狭くなった状態です。

腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎の間にある椎間板の一部が突出し、神経を刺激・圧迫することがある状態です。

それぞれ身体の中で起きていることは違います。

ただし、どれも腰やお尻、足に症状が出る可能性があるため、症状だけでは区別しにくい場合があります。

イラスト通り、イメージとしてはこんな感じです。

すべり症、狭窄症、ヘルニアの違い

 

腰椎すべり症とは?

腰椎すべり症とは、腰の骨である腰椎が前後にずれている状態です。

腰椎すべり症

 

 

すべり症にはいくつか種類がありますが、中高年以降では腰椎や椎間板などの加齢変化に伴って起こる「変性すべり症」が見られます。

一方、若い時期のスポーツなどをきっかけに腰椎分離症が起こり、その後すべりを伴う場合もあります。

すべり症で見られることがある症状

  • 腰の痛み
  • お尻の痛みや重だるさ
  • 足の痛み・しびれ
  • 長時間立っているとつらい
  • 長く歩くと足に症状が出る

ただし、画像上ですべり症が確認されても、必ず強い症状が出るとは限りません。

「すべっている=必ずそこが現在の痛みの原因」とは限らないという点も重要です。

腰部脊柱管狭窄症とは?

腰部脊柱管狭窄症とは、背骨の中を通っている神経の通り道「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫・刺激されることで症状が出る状態です。

脊柱管狭窄症の説明のイラスト

加齢に伴う椎間板や骨、靭帯などの変化が関係して起こることがあり、中高年以降で多く見られます。

脊柱管狭窄症で特徴的な間欠性跛行

脊柱管狭窄症でよく知られている症状の一つが、間欠性跛行(かんけつせいはこう)です。

歩いていると足の痛みやしびれ、だるさなどが強くなり、途中で休憩すると再び歩けるようになるという症状です。

また、立っていると症状が出やすく、座ったり前かがみになったりすると症状が軽減する方もいらっしゃいます。

車や自転車も楽で運転できます。

脊柱管狭窄症で見られることがある症状

  • 歩いていると足が痛い・しびれる
  • 一定時間歩くと休みたくなる
  • 立ち続けると症状が強くなる
  • お尻から足にかけて痛みやしびれがある
  • 前かがみになると楽になる

ただし、これらの症状があるからといって必ず脊柱管狭窄症というわけではありません。

腰椎椎間板ヘルニアとは?

腰椎椎間板ヘルニアとは、腰の骨と骨の間にある「椎間板」の一部が突出した状態です。

腰椎ヘルニアの説明イラスト

突出した椎間板が神経を刺激・圧迫すると、腰だけでなく、お尻や足に痛み・しびれなどが出ることがあります。

腰椎椎間板ヘルニアで見られることがある症状

  • 腰痛
  • お尻から足にかけての痛み
  • 片側の足にしびれを感じる
  • 前かがみや座っている姿勢で症状が強くなる
  • 咳やくしゃみなどで足への痛みが強くなる

ヘルニアは比較的若い年代でも見られます。

一方で、MRIで椎間板の突出が見つかっても、症状がない方もいます。

そのため、画像だけではなく、症状や身体診察などを合わせて判断することが重要です。

すべり症・脊柱管狭窄症・ヘルニアの違いを比較

症状名 身体で起きていること 見られやすい症状 症状が変化しやすい動作
腰椎すべり症 腰椎が前後にずれている 腰痛・お尻や足の痛み・しびれ 立位・歩行などで症状が変化する場合がある
腰部脊柱管狭窄症 神経の通り道が狭くなっている 歩行時の足の痛み・しびれ・だるさ 立位・歩行で悪化し、座位や前屈で楽になる場合がある。自転車、車も楽
腰椎椎間板ヘルニア 椎間板の一部が突出している 腰痛・お尻から足への痛みやしびれ 前屈・座位・咳やくしゃみなどで変化する場合がある

この表はあくまで一般的な特徴を整理したものです。

実際には症状が重なることも多く、この表だけで病名を判断することはできません。

すべり症と脊柱管狭窄症が同時にあることもあります

ここはよく誤解される部分です。

すべり症と脊柱管狭窄症は、必ずしも完全に別々に起こるものではありません。

例えば腰椎のすべりや加齢による変化などに伴って神経の通り道が狭くなり、脊柱管狭窄症の症状を伴う場合があります。

そのため病院で、

「すべり症があります」

「脊柱管も狭くなっています」

と両方説明されるケースもあります。

病名だけを見るのではなく、現在どのような症状が出ているのかを確認することが大切です。

症状から3つを見分けるときに確認したいポイント

すべり症・脊柱管狭窄症・腰椎ヘルニアは、腰痛や足のしびれなど共通する症状があります。

そのため「しびれているからヘルニア」のように、一つの症状だけで判断することはできません。

身体を確認するときには、症状そのものだけではなく「いつ、どの動作で症状が出るのか」が重要になります。

歩いていると症状が強くなるのか

歩き始めは大丈夫でも、一定時間歩くと足の痛みやしびれが強くなり、座ったり休憩したりすると再び歩ける場合があります。

このような症状は、脊柱管狭窄症を評価するときの重要な情報の一つです。

座っている方が楽なのか、つらいのか

「立っているより座っている方が楽」という方もいれば、「長時間座っていると足への痛みが強くなる」という方もいます。

どの姿勢で症状が変化するのかを確認することも大切です。

前かがみと腰を反らしたときで症状が変わるか

前かがみになると楽になるのか、それとも前かがみで足への痛みが強くなるのか。

反対に、腰を反らしたときに症状が強くなるのか。

このような身体の動きによる症状の変化も、状態を確認するときの情報になります。

痛みやしびれがどこまで出ているのか

腰だけなのか、お尻までなのか、太もも・ふくらはぎ・足先まで症状があるのかも確認します。

また、右だけなのか左だけなのか、両足なのかという違いも重要です。

私が実際に患者さんを見ていて大切だと感じること

病院ですべり症・脊柱管狭窄症・腰椎ヘルニアと診断された方を見ていると、私が特に大切だと感じることがあります。

それは、「病名だけを見て身体を判断しないこと」です。

例えば同じ「脊柱管狭窄症」と診断されている方でも、

  • 5分歩くと足がしびれる方
  • 30分程度なら問題なく歩ける方
  • 腰痛はほとんどなく足だけがつらい方
  • しびれよりも腰の痛みが強い方
  • 立っているとつらい方
  • 座っていても症状が出る方

など、実際の症状は一人ひとり違います。

すべり症やヘルニアでも同じです。

同じ病名だからといって、同じ身体の状態、同じ施術方法になるとは限りません。

そのため私は、診断名を確認することはもちろんですが、それ以上に「現在どの動作で、どの場所に、どのような症状が出ているのか」を確認することを大切にしています。

私が身体を見るときに確認しているポイント

すべり症・脊柱管狭窄症・腰椎ヘルニアと診断されている場合でも、腰だけを見るわけではありません。

症状に応じて、次のような部分を確認します。

1.立っているときの姿勢と体重のかけ方

左右どちらに体重が偏っているのか、腰や骨盤だけでなく上半身がどのような位置にあるのかを確認します。

2.前屈・後屈をしたときの症状の変化

身体を前に倒したとき、反対に腰を反らしたときに、腰痛や足の痛み・しびれがどのように変化するのかを確認します。

3.股関節や背中の動き

腰だけではなく、股関節や背中などの動きも確認します。

身体は腰だけで動いているわけではないため、ほかの部分の動きが少なくなっていることで腰へ負担が集中する場合もあります。

4.歩き方

歩幅、左右差、身体の傾きなどを確認します。

また、歩いている途中から症状が変化する場合には、どの程度歩くと症状が出るのかも重要な情報になります。

5.足の痛み・しびれの場所

腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足先など、どの範囲に症状が出ているのかを確認します。

6.日常生活で症状が出る場面

仕事で座っている時間、立っている時間、歩く距離、家事、車の運転など、普段どのような場面で症状が出るのかを確認します。

施術をしている時間よりも日常生活を送っている時間の方が圧倒的に長いため、普段の身体の使い方まで確認することが重要だと考えています。

MRIやレントゲンで異常があれば、それが痛みの原因?

「MRIでヘルニアがあると言われたから、この痛みは全部ヘルニアが原因だ」

「すべり症があるから、この腰痛は一生治らない」

このように考えて不安になっている方もいらっしゃいます。

もちろん画像検査は非常に重要です。

骨や椎間板、脊柱管などの状態を確認し、ほかの疾患を見つけるためにも必要な検査です。

一方で、画像上の変化と実際に感じている症状を合わせて考えることも大切です。

画像で変化が見つかった場合でも、現在の痛みやしびれとの関連については、症状の経過や身体診察なども含めて判断されます。

そのため、画像だけを見て必要以上に不安になるのではなく、現在の症状や身体の状態と合わせて考えていくことが大切です。

まず整形外科で確認することも大切です

腰痛や足のしびれが続いている場合、まず整形外科などの医療機関で状態を確認してもらうことをおすすめします。

レントゲンやMRIなどの画像検査が必要かどうかを判断してもらい、骨や神経などに大きな問題がないか確認することは重要です。

特に、

  • 足に急激な筋力低下が出ている
  • 足に力が入りにくくなってきた
  • しびれや痛みが急速に悪化している
  • 排尿・排便に異常がある
  • 会陰部周辺に感覚の異常がある
  • 転倒や事故のあとから強い痛みがある
  • 発熱などの全身症状を伴っている

などの場合には、整骨院で様子を見るのではなく、早めに医療機関へ相談してください。

薬やリハビリを続けても症状が残っている場合

整形外科では、症状や状態に応じて薬、注射、リハビリ、手術などが検討されます。

薬についても「できるだけ飲みたくない」と考える方はいらっしゃいますが、症状が強い時期には医師の判断のもとで薬を使用することが必要な場合もあります。

一方で、画像上の状態を確認し、緊急性の高い問題がなく、手術ではなく保存的に経過を見る場合もあります。

そのような場合には、医療機関での治療とあわせて、日常生活でどのような動作をしたときに症状が出るのか、身体の使い方にどのような特徴があるのかを確認することも一つの考え方です。

当院では病名だけではなく身体全体を確認します

当院では、「すべり症だからこの施術」「ヘルニアだからこの施術」というように、病名だけで施術方法を決めることはしていません。

同じ診断名でも、症状や身体の状態は一人ひとり違うからです。

例えば、

  • どの動作で症状が出るのか
  • どのくらい歩くと症状が出るのか
  • 立っている方がつらいのか、座っている方がつらいのか
  • 股関節や背中がどの程度動いているのか
  • 左右の体重のかけ方に違いがあるのか
  • 歩き方にどのような特徴があるのか

などを確認します。

「画像に何が写っているのか」と「現在なぜ症状が出ているのか」の両方を考えることが大切だと私は考えています。

すべり症・脊柱管狭窄症・腰椎ヘルニアについてよくある質問

すべり症と脊柱管狭窄症は同時になることがありますか?

あります。

腰椎のすべりや周囲の変化によって神経の通り道が狭くなり、すべり症と脊柱管狭窄症の両方を指摘される場合があります。

ヘルニアと脊柱管狭窄症はMRIで分かりますか?

MRIは椎間板や神経周辺などを確認するために有用な検査です。

ただし、画像上の変化だけで現在の症状の原因をすべて判断するのではなく、症状や身体診察なども合わせて評価されます。

すべり症になった骨は元に戻りますか?

画像上確認される骨のすべりそのものを、運動や施術によって元の位置へ戻すことを目的にするものではありません。

一方で、画像上の変化が残っていても、症状の程度は人によって異なります。

そのため、骨の位置だけを見るのではなく、現在困っている症状や身体の状態を確認することが重要です。

手術をしないと良くならないのでしょうか?

すべての方が手術になるわけではありません。

症状の程度や神経症状、画像所見、日常生活への影響などによって治療方針は異なります。

手術が必要かどうかについては、整形外科などの医療機関で相談してください。

整骨院へ行く前に整形外科へ行った方がいいですか?

まだ医療機関で検査を受けていない場合や、足のしびれ・筋力低下などがある場合には、まず整形外科で状態を確認してもらうことをおすすめします。

画像検査などで現在の状態を確認したうえで、その後の対応を考えることが大切です。

まとめ|病名だけではなく「今どのような症状が出ているか」を確認する

腰椎すべり症・腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニアは、それぞれ身体の中で起きていることが異なります。

しかし、腰痛、お尻の痛み、足の痛み・しびれなど、症状が重なる部分もあります。

また、すべり症と脊柱管狭窄症など、複数の状態が同時に見られる場合もあります。

そのため、病名だけを見て「自分はこれが原因だ」と決めつけるのではなく、画像検査・症状・身体の状態を合わせて確認することが大切です。

私自身も患者さんを見るときには、診断名だけではなく、歩き方、立ち方、前屈・後屈、股関節や背中の動き、症状が出るタイミング、日常生活などを確認するようにしています。

「病院ですべり症と言われたから仕方がない」「ヘルニアがあるからずっとこのまま」と必要以上に不安になるのではなく、まず現在の身体の状態を確認することが大切です。

すべり症でお悩みの方へ

ひこばえ整骨院での腰椎すべり症に対する考え方、検査・施術内容については、こちらのページで詳しくご紹介しています。

腰椎すべり症の施術について詳しく見る

この記事の執筆者

ひこばえ整骨院院長 齋藤克也

ひこばえ整骨院 院長 齋藤克也

国家資格保有。兵庫県西宮市でひこばえ整骨院を運営。

身体の痛みや不調に対する施術だけでなく、同業者への技術指導や書籍出版などを通じて、身体に関する情報発信を行っています。

YouTubeでも身体の痛みや不調について、一般の方にもできるだけ分かりやすく解説しています。

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を目的とするものではありません。