来院日

8月初旬

患者さん

O・Yさん 30歳代 大阪市在住 女性

悩み

背中、腰、お尻にかけてがずっと痛みがあって辛い、というのが一番の悩みでした。

もともと腰痛はあったそうで、一度一昨年の年末頃に悪化したことがあったそうです。

春ごろに一度お仕事が落ち着いていたのもつかの間、6月ごろから仕事がまた増え、それと同時に痛みも増してきたそうです。

朝一に、目が覚めてもうすでに腰からお尻が痛い、起き上がるのも痛い…。

体を動かしてお仕事に集中しているときは、まだマシだけれど、また夜に寝るときには痛い、という常に痛みを感じてしまう状態でした。

整骨院やマッサージも行ったことはあるのだそうなのですが、結局一時的でその日の夜にはまたしんどくなっている、とのことでした。

常に痛みを感じるため、気分的にも辛く、なんとか改善したい、ということでお越しになられました。

患者さんの症状は?

今回の患者さんの症状は、仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)、といわれるものでした。

仙腸関節障害とは、骨盤をつなぐ関節である仙腸関節(せんちょうかんせつ)に、何らかの原因で負担がかかり続けたことで関節の動きがなくなった状態をいいます。

骨盤を作るのは仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)という二つの骨です。

その仙骨と腸骨の間にある関節が仙腸関節です。

仙腸関節を結ぶ靭帯(じんたい)はとても硬く、頑丈に固定されています。

そのため仙腸関節の動く範囲というのはとても狭く、2~3mm、と言われています。

ですがその仙腸関節には、姿勢の維持にとても大切な役割があります。

上半身で物を持った時にその負担を下半身に流して分散させる役割。

歩く走る立つ、という動作の時に地面から下半身が受ける衝撃を、上半身に逃がす役割。

一番重要なのが体の重心のバランスをとる役割。

このように、重力がある中で、人間が二足歩行で生活していけるのにはこの仙腸関節の存在がとても重要です。

仙腸関節障害が起こると、これらの負担を分散させることができなくなってしまうため、体のバランスも崩れやすく、負担がかかり続けてしまうところに痛みが出てくるのです。

患者さんの場合の仙腸関節障害の原因は・・・

仙腸関節障害は、日常的な体の使い方が悪いことで起こります。

今回の患者さんの仙腸関節の障害で起こる背中からお尻にかけての痛みの原因は、姿勢でした。

立っているときや座っているとき、もちろん動いているときなどでも常に足や背中に力が入りすぎてしまっていたのです。

腰に力が入る、というよりも背中全体に力が入りっぱなしの状態でした。

そして足も突っ張って立つような形で力が入ってしまうため、股関節と膝の関節と足首にねじれが生じていました。

力が入り続けることで背骨が固まっているためそれにつながる骨盤、股関節もロックがかかったように固まってしまっていました。

寝る、という行動も同じ姿勢で居続けることになり、寝ている体勢でも負担のかかるところは同じ場所ばかりになっていたのです。

関節や筋肉が柔軟な場合、寝返りをうつことで体のねじれや歪みを修正できるのですが、関節や筋肉が硬くなってしまうとそれが自分ではできなくなってしまうのです。

全身が緊張状態であるため、寝ているときにも負担がかかることになり筋疲労が取れず、朝一から痛みを感じていたのです。

ある程度動かしている方が楽なのも、硬く錆びている筋肉に油が回るため比較的動く余裕ができるからです。

でも完全に筋肉が緩むわけではないのですぐに疲労が溜まり、夜になるとまた痛くなる、というのの繰り返しだったのです。

一般的な治療 患者さんがやった治療

 

一般的な治療としては、整骨院では腰痛の治療、マッサージ店では腰のもみほぐし、などとなります。

整形外科ではレントゲンの撮影をして異常があるかどうかを確認します。

あまりに痛みがきつい場合は痛み止めの薬以外にも、仙腸関節付近に直接注射を打って痛みを感じなくさせる方法もあります。

ですがこれらはあくまで一時しのぎです。

実際に今回の患者さんも、

整骨院やマッサージ屋にも行かれていましたが、マッサージをしてもらった直後はマシになるのに、家に帰って眠るときにはもう痛い、

ということを経験されていました。

そもそも整骨院ならまだしも、マッサージ屋さんでは痛みの治療をしていませんので、目的が違います。

ただ筋肉を緩めるだけのマッサージでは、根本的な解決にはならないのです。

今回やった治療は…

今回当院で行った治療は、この患者さんの痛みの原因である姿勢を改善するための矯正です。

硬くなっている背中、肩甲骨の関節、そして股関節、膝、足首を動かしていきました。

仙腸関節の動きを一番かばっていたのがお尻の筋肉だったため、かなり硬く張っていました。

お尻の筋肉を緩めて仙腸関節の動きをつけやすくして、骨盤の矯正を行ない、仙腸関節を動かしていきました。

自主的に行えるストレッチとしては、背骨と肩甲骨を動かしやすくするために肩回りのストレッチからお伝えしていきました。

初回に治療して3日間はお尻の痛みが全くなくなっていたそうです。

その後また朝に痛みが少しでてきたけれど、来る前のことを考えると全然痛みがマシだったそうです。

今までやらないと、と思うだけで実践できていなかったストレッチを、実際に続けてできているとのことでした。

前回お伝えしたものや、それ以外にもお渡しした資料を見て4つほど決めてやってみたそうです。

やはりストレッチをやる、やらない、だけで体の感覚がここまで違ってくるものなのか、と衝撃を受けたそうで、ますます毎日やらないと、と思ったとのことでした。

今までは「どのストレッチが自分に合っているのか」なども分からなかった

というのもストレッチしていなかった理由としては大きかったようでした。

優先してやるべきことをお伝えして、あとは痛みの出ない範囲で体を動かしていく、ということがきちんとできていらっしゃったのです。

お尻の筋肉の緊張が緩んできたため4回目の施術では、立ち方の修正をしていきました。

足の力が入ってしまうため、足の力を抜いてお尻の穴だけを締めるイメージで立つ、といった感じで立ち方の意識を変えていきました。

腰に力を入れないために、お腹を凹ませたり腰と骨盤だけを動かして丸めるように意識する立ち方にしました。

立ち方を変えたときは、普段の姿勢よりかなり後ろに重心がいっているような感覚や、背中が丸くなっていそう、という感覚があったようでした。

立ち方を修正した次のときに、またお尻の痛みが出てきていて、確認してみるとお尻を締めるを意識しすぎてしまっていました。

再度立ち方で気を付けるべきポイントを確認し直すと、それ以降は痛みも強くでずに過ごせました。

慣れてくれば意識すると自分で修正していけるようにもなっていました。

9回目の施術の頃には、来院の頻度を10日~2週間に一回のペースにし、姿勢の定着をしていきました。

大きい痛みや違和感を感じなくなり、痛みがない生活がこんなに楽だったなんて忘れていました、とおっしゃっていました。

実は以前から感じていた頭痛も、治療を始めてから2ヶ月程経過しているのに全くなくなっていたということにこの頃気が付いた、とおっしゃっていました。

朝のお尻の痛みがかなり軽減し、腰の痛みも仕事終わりに多少張り感を感じる程度まで改善しました。

普段からのストレッチもかなり習慣的に行えるようになったそうです。

12回目の施術のときに、同じ姿勢でいたあとに歩き出す際、腰に痛みが出ることがあった、とのことだったので立ち方の再確認をしました。

腰を丸める、という感覚が同じ姿勢でいると忘れがちになっていたので、そのせいで腰の緊張がでていたようでした。

姿勢の意識だけ不安があったため、3週間、1ヶ月と間を空けて痛みが出ないか、姿勢が崩れないかを確認しにくるようお伝えしました。

13回目にはお尻の痛みが少し出たそうですが、自分でストレッチをすると翌朝には気にならないくらいに回復できる状態になっていました。

結果どのようになったか

 

 

その後、私用で忙しく、2ヶ月ほど空いてから来院されたときにも、以前ほど痛くなるようなことはなかったようでした。

ですが痛みが出なくなってきてストレッチの回数が減っている自覚はすごいある、とのことでした。

腰やお尻に関しては痛みもなく過ごしていたということでしたが、背中に張り感が強く出ていて、なかなか伸びない感覚だったそうです。

ストレッチを行なうのも優先順位をつけて行なえるように、お伝えしたのと、最後にもう一度立ち方の確認をしていきました。

足の力が入るところが気になったため、股関節のねじれをとる矯正の方法だけ追加でお伝えしました。

特に痛みがなかったことと、姿勢も大きく崩れなくなったので14回目の施術で終了しました。

目安は毎月末ごろに、姿勢とストレッチをちゃんと気を付けて行なえているか、自分で思い出せるようにしましょうとお話しました。

3日以上痛みや違和感がストレッチをしても回復しないようであれば、また関節の硬さやねじれがでている可能性もあるため、一度診せて下さい、ともお伝えしました。

 

まとめ

今回の方は仙腸関節障害によって背中から腰、お尻に痛みがでていました。

仙腸関節障害は日々の体の使い方が悪いと出てきてしまうので、自分では何が悪いのか気が付けないことが多いのです。

整形外科でのレントゲン検査やMRIにも異常が現れないので、非常に見逃されやすいです。

痛み止めなどでは一時的にしのぐことは可能ですが、根本的に変わってはいないので再発を繰り返し、突然強い痛みに見まわれることになります。

自分でも最初は我慢できるから…、と危機感も薄く、放置してしまいがちです。

そういった少しの違和感が積み重なっていくことが、症状を繰り返したり治りにくくしてしまう原因になります。

いつもと違う違和感や痛みを感じたら、まずはいつもより入念な体のメンテナンスをしよう、と思って下さい。

それが習慣化して痛みが出ないならそれはそれでいいと思います。

ですが全く変わらない、痛みが取れない、などとなるのであれば、原因はそれではない、ということです。

早く本当の原因が改善できるよう治療しましょう。

仙腸関節の障害についてお悩み事があれば、ひこばえ整骨院にご来院ください。

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執筆者

ひこばえ整骨院 院長 齋藤 克也(監修)

柔道整復師(国家資格保持者)

業界歴16年。

18歳の頃から整骨院1筋で西宮市で痛みに悩まれている方のお役に立てる様に日々精進中。

現在ストレッチの本を執筆中。年内に発売予定。

ひこばえ整骨院仙腸関節障害に対する治療

ひこばえ整骨院では仙腸関節障害の治療を非常に得意としています。

悪い部分だけを見るのではなくそれ以外の歩き方や立方体の使い方を全て見て一番最適な治療方法を選んで行きます。

もしあなたが仙腸関節障害によ腰痛で悩まれているならば是非下記をご覧ください。

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