
症例の概要
出産後、以前履いていたパンツが腰まわりで引っかかるようになったことや、肩から背中にかけて今まで感じたことのなかった痛みに悩んでいた30代女性の症例です。
産後間もない時期で育児による身体への負担もあり、「このまま痛みが強くなってしまうのではないか」「身体は元に戻っていくのだろうか」という不安を感じていました。
当院では、いわゆる「骨盤の開き」だけで判断するのではなく、肩や背中、股関節周囲の動き、姿勢などを確認しながら施術を行いました。
最終的には、肩・背中の痛みや強いこりをほとんど感じず、育児中も大きな症状を感じることなく過ごせるようになりました。
患者さん
30代 女性
主婦
来院:平成28年5月
来院時のお悩み
出産前に履いていたパンツが、産後になって腰まわりで引っかかるようになったことが気になっていました。
ご本人は「産後ベルトをきちんとしていなかったから、骨盤が開いたままなのではないか」と心配されていました。
さらに出産後から、これまで感じたことのなかった肩から背中にかけての痛みも出るようになっていました。
お子さんが生まれたばかりで抱っこなど育児による身体への負担も続くため、
「このままにしていると、もっと痛みが強くなるのではないか」
という不安もあり、少しでも身体を楽にしたいということで来院されました。
これまでの経過
出産後から身体の変化を感じるようになり、特に気になっていたのが腰まわりと肩・背中でした。
以前履いていたパンツが腰まわりで引っかかるようになったため、ご本人は骨盤が開いているのではないかと考えていました。
一方、肩から背中にかけては出産前にはなかった痛みが出ていました。
産後は抱っこや授乳など、それまでとは異なる姿勢や動作が増える時期でもあるため、身体の状態を確認したうえで施術方針を考えることにしました。
当院で確認した身体の状態
まず、立った状態で身体の姿勢や左右差を確認しました。
骨盤の高さについては、来院時に大きな左右差は確認できませんでした。
その一方で、仰向けになった際の脚の開き方や、座った状態で首・背中をひねった時の動き、肩を上げた時の動きなどには左右差がみられました。
特に左側へ身体を動かす際に動かしにくさがみられました。
こうした左右差だけを痛みの原因と決めつけるのではなく、実際に困っている肩・背中の症状や、産後の生活環境も含めて身体の状態を確認しました。
施術の考え方
今回の症例では、肩や背中だけではなく、首・肩甲骨周囲・背中・お尻・股関節周囲などの状態を確認しながら施術を行いました。
また、産後はお子さんの抱っこや看病などで同じ姿勢が続いたり、身体に負担がかかったりする場面もあります。
そのため施術だけではなく、普段の姿勢や身体の使い方についても確認しました。
自宅では、背中からお尻周囲を無理なく動かすストレッチや、肩甲骨周囲を動かすセルフケアなどをお伝えしました。
施術後の経過
1〜2回目
初回は、首・肩・背中・お尻周囲などの筋肉の緊張や、肩甲骨・股関節周囲の動きを確認しながら施術を行いました。
施術後に再度身体の動きを確認すると、首や背中をひねった時の動きや肩の上げやすさに変化がみられました。
2回目に来院された際には、肩の強いつらさは出ていませんでした。
一方で首周囲の硬さがあり、時々寝違えたような症状が出ることがありました。
旧記事ではこれを「好転反応」としていましたが、症状の変化を施術による反応と決めつけず、その時の状態を確認しながら施術を続けました。
3〜4回目
来院の数日前に、以前から数年に一度起こるという強い寝違えがありました。
ただし、来院された時点では大きな痛みや動きの問題はありませんでした。
抱っこの回数や時間には大きな変化がありませんでしたが、腰や背中についてはほとんど気にならなくなっていました。
肩周囲にはまだ緊張感が残っていましたが、以前みられていた頭痛も気にならなくなっていました。
この頃には、呼吸を止めずに身体を動かすことなども意識してもらいました。
5〜7回目
お子さんが体調を崩し、看病で身体への負担が増えた時期もありました。
それでも腰に大きな症状は出ず、肩にも強い疲れは感じなかったとのことでした。
肩周囲には多少のこり感が残っていましたが、肩甲骨周囲の動きもスムーズになっていました。
最後の施術時には、強いこりや痛みはほとんどなく、日常生活で感じる通常の疲労程度になっていました。
育児を続けながらも症状が安定していたため、合計7回で集中的な施術を終了しました。
院長の考察
今回の患者さんは、「産後に以前のパンツが履きにくくなった=骨盤が開いたままなのではないか」という不安を持って来院されました。
産後の身体については「骨盤が開く」「骨盤が歪む」といった表現がよく使われますが、パンツの履き心地だけから骨盤の状態を判断することはできません。
今回も立った状態で骨盤の高さを確認した際には、大きな左右差はみられませんでした。
一方で、首や背中、肩、股関節周囲の動きには左右差があり、実際に肩から背中にかけての痛みもありました。
そのため、「骨盤を閉じること」を施術の目的にするのではなく、現在どこに痛みがあり、育児をする中でどのような動作や姿勢が身体への負担になっているのかを確認することを重視しました。
経過の中では、抱っこの量が変わっていなくても腰や背中が気にならなくなり、お子さんの看病で負担が増えた時にも大きな症状は出ませんでした。
最終的には強い痛みやこりがほとんど気にならない状態で育児を続けられていたため、集中的な施術を終了しました。
産後は身体だけでなく生活そのものが大きく変わる時期です。骨盤だけに注目するのではなく、実際に困っている症状や育児中の身体の使い方まで確認することが大切だと考えています。
患者さんの写真・声

※施術による変化には個人差があります。本症例は一例であり、同様の結果を保証するものではありません。
産後の身体の痛みでお悩みの方へ
産後は、抱っこや授乳、睡眠時間の変化など、出産前とは生活環境が大きく変わります。
「骨盤が開いているのではないか」と心配される方もいますが、骨盤だけで判断するのではなく、現在どのような動作で困っているのか、肩・背中・腰など身体全体の状態を確認することが大切です。
痛みが強い場合や、発熱・強いしびれなど気になる症状がある場合には、まず医療機関での評価が必要な場合もあります。
※施術による変化には個人差があります。本症例は一例であり、同様の結果を保証するものではありません。





