来院日

2019年1月中旬

患者さん

H・Hさん 30代 男性

悩み

2週間ほど前から左胸から脇腹(わきばら)にかけて痛みがでている状態でした。

表面的に皮膚に発疹(ほっしん)が出ることもなく、体を動かすたびにピリピリした痛みが走ったそうです。

症状的に肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)かな?

と思いペインクリニックに行ったとのことでした。

そこでは背中の骨である胸椎(きょうつい)が多少曲がっていることは指摘されたけれど特に大きな異常は見られなかったとのこと。

確かに肋間神経痛の症状だということでブロック注射は打ったとのことでしたがあまり変わらず、そこから痛み止めを処方されて終わったそうです。

それでも特に痛みが大きく改善しなかったとのことでした。

その後、日ごとに痛みは軽減したものの、体を捻ったり腕をあげたりする動作ででる引きつり感や痛みは続いていました。

肋間神経痛がしばらく変わらないため他に原因があるのでは、ということで奥様がいろいろと調べてくれたそうです。

その中で肋間神経痛に猫背や肩コリが関連することがわかり、自分にもかなり当てはまるので一度見てもらおうということでお越しいただいたのでした。

姿勢は昔から気にはなっていたけれど、自力で姿勢を伸ばしてもしんどいだけなため諦めていたそうです。

ストレッチをしても何をすべきかわからず、やってみても自分の体の硬さはどうしようもないくらいだと思っていたそうです。

肩コリはずっとあるため肋間神経痛の痛みが取れるのは希望するが、それよりも姿勢と肩コリが改善できると嬉しい、とおっしゃっていました。

肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)とは

肋間神経痛の症状

背中の骨の間から肋骨に沿って前の方向へ伸びる神経が肋間神経です。

イメージとしては肋骨の下に神経が走っていると思ってください。

痛む場所は神経の通り道に沿うため背中~胸、あるいは脇腹に痛みを感じることもあります。

体を動かすと痛むものや、せき、深呼吸さえも痛みが強く、できなくなるほどの症状もでます。

特徴としては、片側の胸、背中、ワキ腹周辺に刺すような、締め付けられるような痛みが現れます。

肋間神経痛の原因

別の病気が原因で現れる肋間神経痛と、特定できる原因がないとされる肋間神経痛に分かれます。

別の病気が原因で現れる肋間神経痛は、肋骨骨折や内臓の疾患や心臓の疾患などからの影響が考えられます。

他にも帯状疱疹(たいじょうほうしん)、いわゆるヘルペスは肋間神経に沿って炎症が起こり、痛みます。

皮膚の表面に発疹(ほっしん)、疱疹(ほうしん)がみられ、肋骨神経に沿って帯状にそれができる事から帯状疱疹と呼ばれます。

帯状疱疹の原因となるヘルペスウイルス(水疱瘡ウイルス)は、幼いころに感染したものが消滅しきらずに体の中に潜伏している場合があります。

それが大人になってから免疫力が低下するとウイルスに体が負けてしまい、症状がでてしまいます。

 

特定の原因がない肋間神経痛は主に体の使い方が原因となっていることが多いです。

特に姿勢の影響は強く、猫背や胸を張りすぎる姿勢などの癖があると、肋間神経痛を引き起こしやすくなります。

体の使い方が悪いことでだんだん背中の筋肉や骨の動きが悪くなり、肋間神経の通り道の妨げになったり、神経を圧迫する形になります。

そうなると特に病気がどこかにあるわけでもないのに、突然肋間神経痛がでてしまいます。

患者さんの場合の原因

 

結果的に、初回で来院されてから一週間後くらいにわかったことですが、左の肋間神経痛は帯状疱疹だったとのことでした。

来院から一週間後くらいに皮膚に疱疹が出始めたため、改めて皮膚科で見てもらったところ、帯状疱疹の診断を受けたそうです。

そこから抗ウイルス薬で1週間ほどで特に気にならないほどに改善したとのことでした。

検査時は左うでをあげると突っ張り感が左のわき腹辺りに出ていました。

ですが肋間神経痛ではない方の右うでの動きも悪く、うでが最後まで上がりきらず止まってしまう状態でした。

背中を伸ばす、肩甲骨を動かすことでその動作での痛みも改善できるものでした。

そのため突っ張り感があるのは、姿勢と肩甲骨の動きの悪さとの関連もあると判断しました。

姿勢の悪さに関して、自力で背筋を良くしてもしんどいだけ、というのも、自力で改善できる範囲を越えて状態が悪い、ということです。

 

この方の姿勢が改善できない理由は、背骨と肩甲骨の動きがなく、本来動くはずの範囲で体を使えていないためです。

使う筋肉が一定で、動かさない筋肉も一定になっていくと、体はどんどん省エネになって動かす範囲を狭めていきます。

そういった悪循環が続くと、筋肉だけでなく、関節や骨の動き自体がなくなって動かすことができなくなっていきます。

結果、正しい状態に動かすことが難しくなり、姿勢も悪くなり、肩も凝りやすい、という負の連鎖が完成するのです。

ここまでくると、自分の力で意識したり、ストレッチをしたりしても、体は今よりいい状態に戻れなくなってしまいます。

そのため硬く動かなくなっている背骨や肩甲骨の動きをつけていくことで、姿勢も意識できるようになり、肩こりにずっと悩まされ続ける、という状態は改善できるのです。

もともとの治療後の希望が、神経痛がなくなることが好ましいが、一番は姿勢を改善して肩こりがきつく感じないようになりたい、ということでした。

そのため帯状疱疹であったからと言って、特に方針は変えることなく治療を進めることをお伝えしました。

胸が痛い時に行う一般的な治療方法

 

一般的に、姿勢の改善や肩こり解消はマッサージに行く、お風呂で体を温める、ストレッチをして伸ばす、などがほとんどです。

一時的な疲労感、軽度の歪みなどはこれらの方法で解消できます。

猫背と肩こりの治療、という考えでいくならこれらでは不十分となります。

肩こりでマッサージに行く、ということはもちろん悪いことではありません。

一時的に血行が良くなり楽になった、という感覚が得られてもそれが持続できません。

猫背もマッサージを受けた直後は背筋が伸びますが、自分の意識がなければ持続できない、ということもあります。

マッサージやストレッチや体を温めることで、筋肉の硬さはある程度取れますが、関節や骨の矯正まではできません。

今回の方のようにあまりに癖がついてしまった姿勢に関しては、これらの方法で改善することは難しいのです。

今回患者さんに行なった治療

 

今回この患者さんに行なった治療は主に肩甲骨を動かすことと、背骨を動かすこと、この二点から入っていきました。

猫背になることで頭の位置が完全に前側にずれて固まっていました。

こんな感じの座り方をしている方は要注意です。

背骨は首から腰にかけてつながっている部分であるため、背骨の治療をするときは全体の矯正が必要です。

そして背骨を動かす為には肋骨も一緒に動かさなければなりません。

この方の場合、肋間神経痛もあったため余計に呼吸が浅くなっていました。

ですが今はもう呼吸で響くほど痛みがあるわけではないのに、呼吸が浅い状態でした。

そのため肋骨の動きも少なく、余計に背骨が動いていなかったのです。

デスクワークがメインであるため、まずは座り姿勢を変えていくようにしました。

背筋を伸ばそうとすると背筋に力が入ってしまう為すぐに疲れます。

まずはバスタオルをお尻に引いて、骨盤が後ろに倒れてしまわないようにしてもらいました。

あとはいきなり多くのストレッチを行なうのも単純に体への負担になってしまうため、まずは深呼吸5回を寝る前に必ず行なっていただくようお伝えしました。

改善までの経緯

 

早くに肋間神経痛の痛みがなくなったこともあり、しっかりストレッチを行なえているとのことでした。

座るときに気を付けることとして、頭の位置を後ろに下げること、これを重点的に意識していただきました。

動いての痛みも特になかったのでもともとやっていた運動なども、特に無理に動かさなければ大丈夫な範囲で動くよう、お伝えしました。

その翌週さっそくフットサルに行かれたそうで、フットサル中に気が付いたことで、以前より息切れをしなくなったのが分かった、とのことでした。

5回目の施術のときには肩甲骨と背中が動くようになってきており、姿勢も少しづつ変わってきていました。

ご自身でも、以前のようにしんどくなることもなく、すごく頑張って背筋を伸ばしてる、という感覚もないのに姿勢が伸びてる、と喜ばれていました。

座り方が良くなったので、立ち方も確認していきました。

立っている状態でも頭の位置が前寄りになっており、太ももやすねの方に力が入りやすくなっていました。

まずは膝の力を抜いて重心を少し後ろに、という風に意識してもらいました。

だんだん姿勢が維持できるようになるにつれ、肩こりのしんどさも以前と比べると全然気にならないくらいになっていました。

当院を見つけたきっかけとなった奥様にも、肩の開き方が全然違う、と言われると喜んでおられました。

立ち方がきれいになり、最後の3回の施術の中で歩き方の修正まで行なっていきました。

猫背自体もご本人としてもしっかり満足できるほど改善できたため、10回で施術は終了としました。

肩や胸を開くストレッチはもちろんですが、股関節や足首などでもストレッチを行なえると、よりいい状態で維持しやすくなります。

治療は終了しても、ストレッチは毎日続けます、とおっしゃっていただけました。

また肩の疲労感が取れないときや、正しい姿勢の感覚がわからない、などがあれば早めに一度確認に来てください、とお話しました。

まとめ

今回の方は、きっかけは肋間神経痛でしたが、それよりもずっと悩まれていた猫背と肩こりの治療ができて満足いただけました。

結果的に今回の肋間神経痛は帯状疱疹からの痛みでしたが、姿勢が原因となる肋間神経痛ももちろんあります。

たかが肩こり、たかが姿勢、とおざなりで見て見ぬふりをし続けると、突然どうしようもないほどの悩みに襲われることになるかもしれません。

あくまで可能性ですが、痛みにだるさに疲れに、悩まされ続ける日々は送りたくないですよね。

痛みを感じたり、自分でおかしいな、と思った時に治療しよう、というのはすぐに思えないかもしれません。

ですが今回の方のように、いつもと違う痛み方が自分の体を見直すチャンスです。

基本的には3日経ってもなくならない痛みがでたときは、体がもう一段階悪くなるタイミングです。

その時々のタイミングで、しっかり体を治せると姿勢や体の使い方が悪い方に進行することを食い止める事が出来ます。

痛みがなくなることを全て治ったとは思わずに、痛みに慣れてしまったとも思うようにしましょう。

姿勢の悩みや肩こりなどの慢性的な症状でも、きっちり治療すれば改善できます。

治らないものだと決めつけて、治そうとしないと勝手に良くなることはありません。

本当に治したいと思うのであれば、ぜひ一度、ひこばえ整骨院にご相談ください。

 

*効果を保証するものではなく、個人の感想です。

ひこばえ整骨院胸のに対する治療

ひこばえ整骨院では肋間神経痛、猫背の治療を非常に得意としています。

悪い部分だけを見るのではなくそれ以外の歩き方や立方体の使い方を全て見て一番最適な治療方法を選んで行きます。

もしあなたが猫背による肩こり、首こり、背中の痛みなどに悩まれているならば是非下記をご覧ください。

 

執筆者

ひこばえ整骨院 院長 齋藤 克也(監修)

柔道整復師(国家資格保持者)

業界歴16年。

18歳の頃から整骨院1筋で西宮市で痛みに悩まれている方のお役に立てる様に日々精進中。

現在ストレッチの本を執筆中。2019年6月に発売予定。

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